共同親権は既に離婚した場合でも適用される?変更手続きとメリット・デメリットを解説

月に一度の面会交流日。公園のベンチで、数時間だけ一緒に過ごす我が子。「パパ、次はいつ会える?」と聞かれるたびに胸が締めつけられる。離婚してから何年も経つけれど、「もっと子供の人生に関わりたい」という思いは消えるどころか、日に日に強くなっていく——。

2024年の民法改正で、そんなあなたに新しい選択肢が生まれました。この記事では、既に離婚済みの場合でも共同親権に変更できるのか、その条件と手続きを詳しく解説します。

この記事でわかること

– 2024年民法改正による共同親権制度の概要

– 既に離婚済みの場合に共同親権へ変更できるか

– 変更手続きの流れと必要書類

– 共同親権のメリットとデメリット

– 共同親権が認められないケース

– 共同親権でなくても子供との関係を維持する方法


共同親権とは — 2024年民法改正の概要

「共同親権って最近ニュースで見たけど、自分にも関係あるの?」と思っている方、まずは制度の全体像を押さえましょう。

2024年5月、民法等の一部を改正する法律が成立し、離婚後の親権制度に大きな変更が加えられました。

改正前(単独親権制度)

これまでの日本では、離婚時に父母のどちらか一方を親権者に定める必要がありました(旧民法819条)。離婚後は一方の親だけが親権を持ち、もう一方の親は法律上の親権を失う仕組みです。

改正後(共同親権の選択が可能に)

改正法では、離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」を選択できるようになりました。従来の単独親権も引き続き選択可能で、共同親権か単独親権かを選べる制度になります。

項目 内容
成立日 2024年5月
施行時期 2026年4月1日に施行済み
対象 施行日以降に離婚する夫婦+既に離婚済みの夫婦
決定方法 父母の協議、または家庭裁判所の判断

(出典:民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号))


既に離婚した場合、共同親権に変更できるか? — 条件付きで可能

制度の概要がわかったところで、本題に入ります。「自分はもう離婚しているけど、今からでも変更できるの?」——多くの方が気にされているのが、「既に離婚が成立している場合、共同親権に変更できるのか」という点でしょう。

答えは、条件付きで可能です。

改正法の附則では、施行日前に離婚した場合でも、施行日以降に家庭裁判所に申し立てることで親権者の変更が可能と規定されています。

変更が認められるための条件

  • 子の利益に適うことが最も重要な判断基準
  • 父母双方に子の養育に関わる意思と能力があること
  • 父母間で最低限の協力・連絡が可能であること
  • DV・虐待のリスクがないこと

注意点: 共同親権への変更は「申し立てれば自動的に認められる」ものではありません。家庭裁判所が子の利益を最優先に判断します。


変更の手続き — 家庭裁判所への申立て

手続きの流れ

  • 家庭裁判所に「親権者変更の調停」を申し立てる
  • – 相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申立書を提出

  • 調停での話し合い
  • – 調停委員を交えて、共同親権に変更することが子の利益に適うかを協議

    – 家庭裁判所調査官が子供の生活状況や意向を調査する場合あり

  • 合意に至れば調停成立
  • – 調停調書が作成され、共同親権への変更が確定

  • 合意に至らない場合は審判へ移行
  • – 裁判官が諸事情を考慮して判断

    必要書類(一般的なもの)

    • 申立書
    • 申立人・相手方の戸籍謄本
    • 子供の戸籍謄本
    • 離婚時の調停調書や判決書(ある場合)
    • 収入印紙(子供1人につき1,200円)
    • 連絡用の郵便切手

    実務上のポイント: 手続きの詳細は施行後に家庭裁判所から正式なガイドラインが示される見込みです。最新の情報は裁判所のウェブサイトで確認してください。


    共同親権のメリット・デメリット比較

    「変更できるならすぐにでも申し立てたい」と思うかもしれませんが、メリットだけでなくデメリットも理解したうえで判断することが重要です。共同親権への変更を検討する際は、メリットとデメリットの両面を理解しておくことが大切です。

    メリット

    メリット 具体的な内容
    子供との関係維持 法律上の親権者として、子供の生活に関わり続けられる
    教育方針への関与 進学先・習い事など、重要な決定に参加できる
    医療に関する意思決定 子供の手術や治療方針について意見を述べられる
    心理的な繋がり 親子双方にとって「つながっている」という安心感
    子供の自己肯定感 「両方の親から大切にされている」と感じられる

    デメリット

    デメリット 具体的な内容
    元配偶者との継続的な連絡 子供に関する決定のたびに協議が必要
    意思決定の遅延 双方の合意が必要な事項で時間がかかる
    葛藤の継続 離婚後も対立が続く可能性がある
    子供への負担 父母間の意見対立に挟まれるストレス
    DV・モラハラケースでのリスク 加害者との接触が継続するリスク

    判断のポイント: 共同親権が子供にとってプラスになるかどうかは、父母間の関係性に大きく左右されます。冷静なコミュニケーションが取れる関係であれば子供にとってメリットが大きいですが、対立が激しい場合はかえって子供の負担になることもあります。


    共同親権が認められないケース

    「申し立てれば必ず認められるの?」——残念ながら、そうではありません。以下のようなケースでは、家庭裁判所が共同親権を認めない可能性が高いとされています。

    DV(家庭内暴力)がある場合

    過去にDVがあった場合、加害者が親権を持つことで被害者や子供との接触機会が増え、再被害のリスクが生じます。子供の安全が最優先されるため、単独親権が適切と判断されます。

    虐待の事実がある場合

    子供への身体的・精神的・性的虐待やネグレクト(育児放棄)があった場合、その親に親権を認めることは子の利益に反します。

    父母間のコミュニケーションが著しく困難な場合

    共同親権では、子供に関する重要事項について父母が協議する必要があります。一切の対話が不可能な状況では、共同親権は現実的に機能しません。

    子供自身が望まない場合

    子供がある程度の年齢(概ね10歳以上)に達している場合、子供自身の意思も考慮されます。子供が一方の親との関わりを明確に拒否している場合、その意向は重要な判断材料になります。


    面会交流の充実化 — 共同親権でなくてもできること

    「共同親権が難しいなら、もう子供との関係は諦めるしかないのか」——いいえ、そんなことはありません。共同親権への変更が難しい場合でも、面会交流を充実させることで子供との関係を維持・強化することは可能です。

    面会交流の調停を申し立てる

    現在の面会交流の頻度や方法に不満がある場合、家庭裁判所に面会交流の調停を申し立てることができます。

    面会交流の内容を具体的に取り決める

    以下のような項目を具体的に決めておくと、トラブルを防げます。

    • 頻度(月1回、隔週など)
    • 時間(何時から何時まで)
    • 場所(受け渡し場所)
    • 宿泊の可否
    • 長期休暇中の対応
    • 学校行事への参加

    面会交流支援団体を活用する

    父母間の直接のやり取りが難しい場合、第三者機関(面会交流支援団体)を利用する方法もあります。子供の受け渡しや連絡の仲介を行ってくれるため、父母間の接触を最小限に抑えられます。


    まとめ — 「親権の形」より「親子の絆」が大切

    この記事のポイントを整理します。

    • 2024年民法改正で、離婚後の共同親権が選択可能に
    • 既に離婚済みの場合も、施行日以降に家庭裁判所に申し立てることで変更可能
    • 変更が認められるかどうかは「子の利益」が最大の判断基準
    • DV・虐待がある場合は共同親権が認められない可能性が高い
    • 共同親権でなくても、面会交流の充実化で親子関係は維持できる

    共同親権制度の導入は、離婚後も両親が子供の人生に関わり続けるための大きな一歩です。特に、「もっと子供に会いたい」「子供の成長に関わりたい」と願ってきた方にとっては、大きな希望になるでしょう。

    ただし、忘れてはならないのは、制度はあくまで手段であり、目的ではないということ。親権の形がどうであれ、子供にとって大切なのは「両方の親から愛されている」と感じられることです。

    共同親権への変更を目指す場合も、面会交流の充実化を図る場合も、常に子供の気持ちを中心に考えること。それが、親子の絆を守るための最も確実な方法です。

    今日できること: 改正民法は2026年4月1日に施行されています。まずは家事事件に詳しい弁護士に相談し、あなたのケースで共同親権への変更が現実的かどうか、見通しを立てましょう。法テラス(0570-078374)では無料相談の予約が可能です。


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    免責事項: この記事は2026年3月時点の情報に基づいています。共同親権制度の施行時期や具体的な運用は、今後の政令やガイドラインにより変更される可能性があります。最新の情報は法務省および裁判所の公式サイトでご確認ください。個別の状況に応じた判断は、弁護士等の専門家にご相談ください。

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    出典: 民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)、改正民法第819条、法務省「離婚後の子の養育に関する民法改正について」

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    最終更新: 2026年3月

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