離婚の年金分割をしないとどうなる?デメリットと手続き期限

「年金分割の手続きは面倒そうだし、しなくてもいいかな」——離婚時のさまざまな手続きに追われる中で、年金分割を後回しにしてしまう方は少なくありません。

しかし、年金分割をしないまま放置すると、老後の年金額に大きな差が生まれます。特に、長年専業主婦(主夫)だった方や、パート勤務で厚生年金の加入期間が短い方にとっては、将来の生活を左右する重要な問題です。

この記事では、年金分割をしなかった場合のデメリットと、手続きの期限、そして「しない方がいいケース」まで解説します。


年金分割をしないとどうなるか

老後の年金額に大きな差が出る

年金分割をしないと、婚姻期間中に相手が納めた厚生年金の記録は一切分割されません。

具体例:

  • 夫が会社員(厚生年金加入)、妻が専業主婦の場合
  • 婚姻期間25年で離婚
  • 年金分割をしなければ、妻が受け取れるのは自分の国民年金(基礎年金)のみ
  • 基礎年金の満額は月約6万8,000円(令和6年度)
  • 年金分割をすれば、夫の厚生年金の一部が加算され、月約10〜12万円になる可能性も

月に3〜5万円の差は、年間にすると36〜60万円。65歳から90歳までの25年間で計算すると、900〜1,500万円の差になります。

後から請求できなくなる

年金分割の請求期限は離婚後2年以内です。この期限を過ぎると、原則として分割請求はできなくなります。

「後でやろう」と思っているうちに2年が経過し、請求権を失うケースは実際に起きています。


年金分割の2つの種類

①合意分割

婚姻期間全体の厚生年金記録を分割する制度です。

  • 対象期間: 婚姻期間全体
  • 按分割合: 最大50%(夫婦の合意または裁判所の決定が必要)
  • 手続き: 年金事務所に「標準報酬改定請求書」を提出

②3号分割

2008年(平成20年)4月以降に第3号被保険者(専業主婦等)だった期間について、自動的に50%分割される制度です。

  • 対象期間: 2008年4月以降の第3号被保険者期間のみ
  • 按分割合: 一律50%
  • 手続き: 相手の合意は不要。自分だけで請求可能

注意: 3号分割は2008年4月以降の期間に限られるため、それ以前の期間も分割したい場合は合意分割が必要です。


手続きの期限 — 離婚後2年以内

年金分割の請求期限は、離婚した日の翌日から2年以内です。

期限を過ぎるとどうなるか

原則として、期限後の請求は一切認められません。裁判所に申立てをしても、期限切れを理由に却下されます。

例外的に期限が延長されるケース

  • 調停・審判で按分割合を定めた場合 → 確定日から1ヶ月以内に請求すれば可
  • 離婚後2年以内に調停・審判を申し立てていた場合 → 手続き中は期限が進行しない

年金分割をしない方がいいケース

年金分割は必ずすべきものではありません。以下のケースでは、分割しない選択もあり得ます。

  • 自分の方が厚生年金の納付額が多い場合 — 分割すると自分の年金が減る
  • 双方が同程度の収入で、厚生年金の記録がほぼ同じ場合 — 分割してもほとんど変わらない
  • 婚姻期間が非常に短い場合(1〜2年)— 分割額がわずかで手続きの手間に見合わない
  • 他の条件(財産分与・慰謝料)で十分な金額を確保できている場合

ただし、自分のケースで年金分割をした場合・しなかった場合の具体的な金額は、年金事務所で「年金分割のための情報通知書」を取得すれば確認できます。判断に迷ったら、まずは情報通知書を取り寄せましょう。


年金分割の手続きの流れ

  • 情報通知書の取得 — 最寄りの年金事務所で「年金分割のための情報通知書」を請求
  • 按分割合の決定 — 夫婦で合意するか、調停・審判で決定
  • 請求書の提出 — 年金事務所に「標準報酬改定請求書」と必要書類を提出
  • 通知書の受領 — 分割が完了すると「標準報酬改定通知書」が届く
  • 必要書類:

    • 標準報酬改定請求書
    • 戸籍謄本(離婚の記載があるもの)
    • 年金手帳または基礎年金番号通知書
    • 合意書(公正証書等)または調停調書

    まとめ

    • 年金分割をしないと、老後の年金額に月3〜5万円、生涯で1,000万円以上の差が出る可能性
    • 請求期限は離婚後2年以内 — 期限を過ぎると原則請求不可
    • 3号分割は相手の合意不要で、2008年4月以降の期間を自動的に50%分割
    • 自分の方が年金が多い場合は分割しない選択もあり
    • まずは年金事務所で情報通知書を取得し、具体的な金額を確認する

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    *この記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言ではありません。具体的な状況については、年金事務所や弁護士などの専門家にご相談ください。*

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