法テラスで離婚相談|無料で弁護士に相談できる条件と利用方法

夫の財布から生活費をもらう毎日。弁護士の相談料は30分5,000円——パート代から捻出できる金額ではない。「お金がないから離婚できない」と、何度も自分に言い聞かせてきた。

でも、その前提が間違っているとしたら? 実は、お金がなくても弁護士に相談できる公的な仕組みが存在します。

法テラス(日本司法支援センター) を利用すれば、一定の収入要件を満たす方は 無料で弁護士に離婚相談 ができ、さらに弁護士費用の立替制度も利用できます。DV被害者には収入要件の緩和措置もあります。

この記事では、法テラスの利用条件・支援制度の詳細・注意点・法テラス以外の選択肢まで、経済的に不安を抱えている方が「次の一歩」を踏み出すために必要な情報 をすべてまとめました。


法テラスとは|国が設立した法的支援の総合窓口

「法テラス」という名前は聞いたことがあっても、具体的に何をしてくれるのかわからない方が大半です。まずは基本を押さえましょう。

法テラス(正式名称:日本司法支援センター) は、2006年に「総合法律支援法」に基づいて国が設立した公的機関です。「経済的な理由で法的サービスを受けられない人をなくす」ことを目的としています。

法テラスの主な役割は以下の3つです。

  • 法的トラブルに関する情報提供(どこに相談すればよいかの案内)
  • 無料法律相談の実施(収入要件を満たす方が対象)
  • 弁護士費用の立替(民事法律扶助制度)

全国に 地方事務所が50か所以上 設置されており、各都道府県に最低1か所は拠点があります。電話での問い合わせも可能で、サポートダイヤル(0570-078374/おなやみなし) から最寄りの事務所や適切な相談窓口を案内してもらえます。

ポイント: 法テラスは国の機関であり、相談したこと自体が配偶者に知られる心配はありません。DV被害で避難中の方も安心して利用できます。


法テラスで離婚の無料法律相談を受ける条件

「自分は対象になるのか」——最も気になるポイントでしょう。結論から言えば、パートや専業主婦(主夫)の方であれば要件を満たすケースが多いです。法テラスの無料法律相談を利用するには、収入要件資産要件 の両方を満たす必要があります。

収入要件(手取り月収の上限)

申請者本人と配偶者の収入を合算して判断されます。ただし、離婚案件で配偶者が相手方となる場合は、配偶者の収入は合算しません

世帯人数 手取り月収の上限 備考
単身 月18.2万円以下 家賃・住宅ローンがある場合は加算あり
2人家族 月25.1万円以下 同上
3人家族 月27.2万円以下 同上
4人家族 月29.9万円以下 以降1人増えるごとに約3万円加算

※東京・大阪など大都市部では、上記より 1割程度高い基準 が適用されます。

※家賃や住宅ローンの支払いがある場合、一定額が収入から控除されます。

資産要件

預貯金・有価証券などの 流動資産 が以下の金額以下であることが必要です。

世帯人数 資産の上限
単身 180万円以下
2人家族 250万円以下
3人家族 270万円以下

※不動産や自動車は原則として資産に含まれません(ただし、換価容易な場合は除く)。

DV被害者への特例措置

DV(ドメスティック・バイオレンス)の被害者には、重要な特例があります。

  • 配偶者の収入を合算しない(通常の離婚案件と同様)
  • 資産要件の緩和:DV被害により避難中で生活が困窮している場合、資産要件が緩和されることがあります
  • 保護命令の申立て に関しては、資力を問わず弁護士費用の立替が利用可能な場合があります

モラハラ被害で経済的に支配されている方は、自分名義の資産がほとんどない状態であれば要件を満たす可能性が高い です。「自分は対象外かも」と諦めず、まずは法テラスに問い合わせてみてください。


法テラスの3つの支援制度

要件を満たしていることがわかったら、次はどんな支援が受けられるかを具体的に見ていきましょう。法テラスには、離婚問題に活用できる主要な支援制度が3つあります。

1. 無料法律相談(1回30分×最大3回)

収入・資産要件を満たす方は、同一案件について1回30分、最大3回まで 無料で弁護士に相談できます。

  • 法テラスの事務所または法テラスと契約している弁護士の事務所で実施
  • 予約制(電話またはオンラインで予約可能)
  • 相談内容は離婚に限らず、養育費・財産分与・親権・DV被害など幅広く対応

活用のコツ: 30分は意外に短いため、相談前に 聞きたいことを箇条書きにして持参 するのがおすすめです。結婚期間、子どもの有無と年齢、相手の収入(わかる範囲で)、離婚を考えた理由などを事前にメモしておくと、限られた時間を有効に使えます。

2. 弁護士費用の立替制度(民事法律扶助)

無料相談の結果、弁護士に依頼したい場合に利用できるのが 民事法律扶助 です。弁護士費用を法テラスが立て替え、利用者が分割で返済する制度です。詳細は次のセクションで解説します。

3. 犯罪被害者支援

DV被害や精神的暴力(モラルハラスメント)で 刑事事件として被害届を出しているケース では、犯罪被害者支援の枠組みで、追加的な法的サポートを受けられることがあります。


弁護士費用立替制度(民事法律扶助)の仕組み

「無料相談はありがたいけど、実際に弁護士に依頼するお金がない」——その壁を突破するのがこの制度です。経済的に余裕がない方にとって、この制度は最も重要です。具体的な仕組みを詳しく見ていきましょう。

立替の対象となる費用

対象 内容
着手金 弁護士に正式依頼する際の初期費用
実費 裁判所への印紙代・郵便切手代・交通費など

成功報酬(報酬金)は立替の対象外 です。ただし、法テラス経由で依頼した場合、報酬金の基準も通常より低く設定されていることが多いです。

返済の仕組み

  • 月額5,000円〜10,000円 の分割返済(事案や立替金額に応じて決定)
  • 返済開始は原則として 立替決定の2か月後 から
  • 事件が終了するまで返済を猶予してもらえる場合もあり

生活保護受給者への免除措置

生活保護を受給している方 は、立替金の返済が 免除(償還免除) される可能性があります。これは「返済を猶予する」のではなく、「返済そのものが不要になる」制度です。

生活保護を受給していなくても、事件終了後も生活が困窮している場合 は、償還免除や猶予の申請が可能です。

離婚案件での立替金額の目安

あくまで目安ですが、法テラスを通じた離婚案件の弁護士費用は以下の範囲が一般的です。

手続き 立替金額の目安
離婚調停 10〜15万円程度
離婚訴訟 15〜25万円程度
離婚調停+訴訟 20〜35万円程度

※養育費・財産分与・慰謝料請求を含む場合は増額されます。

ポイント: 法テラスを利用しない場合、離婚調停の弁護士費用は着手金だけで30〜50万円が相場です。法テラスを通すことで大幅に費用を抑えられます。


法テラスを利用する際の注意点

メリットが大きい法テラスですが、事前に知っておかないと「思っていたのと違う」と感じるポイントもあります。法テラスは非常に有用な制度ですが、利用前に知っておくべき注意点もあります。

1. 弁護士を自由に選べない場合がある

法テラスに直接申し込んだ場合、担当弁護士は法テラスが選任 します。「この弁護士がいい」と指名することは原則できません。

ただし、「持込方式」 という方法があります。自分で法テラスと契約している弁護士を見つけ、その弁護士を通じて法テラスの立替制度を申請する方法です。この方法であれば、弁護士を自分で選んだうえで法テラスの費用立替を利用できます。

2. 審査に2〜4週間かかる

収入・資産要件の審査には 通常2〜4週間 かかります。書類の不備があればさらに延びることもあります。

必要書類の例:

  • 収入を証明する書類(給与明細、源泉徴収票、非課税証明書など)
  • 資産に関する書類(預金通帳のコピーなど)
  • 住民票
  • 事件に関する資料(離婚の場合は戸籍謄本など)

3. 緊急案件には不向きなことがある

配偶者による財産の散逸や子どもの連れ去りなど、一刻を争う案件 には、審査期間がネックになります。

こうした場合は、法テラスへの申請と並行して、弁護士に直接相談して緊急の保全手続き を依頼し、後から法テラスの立替制度に切り替える方法もあります。緊急性がある場合は、そのことを法テラスに伝えれば審査を優先してもらえることもあります。

4. 弁護士の質にはばらつきがある

「法テラスの弁護士は質が低い」という声を耳にすることがあります。正直に言えば、法テラス契約弁護士の中にも 経験豊富な先生もいれば、そうでない先生もいます。これは法テラスに限った話ではなく、弁護士業界全体に言えることです。

質の高い弁護士に当たるためのポイント:

  • 持込方式を活用する:自分で離婚問題に強い弁護士を探し、法テラス対応可能か確認する
  • 無料相談の3回を有効活用する:1回目の相談で不安を感じたら、2回目は別の弁護士を指定して相談することも可能
  • 離婚事件の経験を確認する:相談時に「離婚案件はどのくらい担当されていますか?」と率直に聞いてみる

法テラス以外の無料相談窓口

法テラスの要件を満たさない場合や、まずは気軽に相談したい場合に利用できる窓口もあります。

弁護士会の法律相談

各地の 弁護士会 が有料・無料の法律相談を実施しています。

  • 多くの弁護士会で 初回30分5,500円(税込)程度 の相談が可能
  • 一部の弁護士会では、DV被害者やひとり親向けの 無料相談枠 を設けている場合あり
  • 弁護士会を通じて依頼する場合、離婚問題に詳しい弁護士を紹介してもらいやすい

市区町村の無料法律相談

多くの自治体が、住民向けに 月1〜2回程度の無料法律相談 を実施しています。

  • 1回20〜30分程度
  • 予約制(広報誌やホームページで日程を確認)
  • 相談のみで、その場で弁護士への依頼はできないのが一般的
  • 人気があるため予約が取りにくいことも

法律事務所の初回無料相談

近年は、初回相談を無料 としている法律事務所が増えています。

  • 離婚専門・離婚に強いことをうたっている事務所を選ぶのがポイント
  • 30分〜60分の無料相談で、自分のケースの見通しや費用感を聞ける
  • オンライン相談(Zoom・電話)に対応している事務所も多い

法テラスの条件に合わない場合の選択肢

「法テラスの収入要件を超えてしまう。でも弁護士費用を一括で払う余裕はない」――そんな方にも選択肢はあります。

分割払い対応の法律事務所

多くの法律事務所が 着手金の分割払い に対応しています。3回〜12回の分割が一般的で、事務所によってはより柔軟な対応をしてくれます。

着手金無料・完全成功報酬型の事務所

着手金0円で、解決時に成功報酬を支払う タイプの事務所もあります。特に、慰謝料請求や財産分与で一定額以上の回収が見込める案件で採用されることが多い方式です。

ただし、成功報酬の割合が高く設定されている場合があるため、トータルの費用 をしっかり確認しましょう。

弁護士費用保険(権利保護保険)

自動車保険や火災保険の特約として 弁護士費用特約 が付いている場合があります。離婚案件に使えるかどうかは保険の内容によりますが、確認してみる価値はあります。


「法テラスの対象外だけど、費用面で不安がある」という方へ

離婚問題に強い法律事務所の中には、初回相談無料・分割払い対応・着手金無料プランなど、経済的な負担を軽減する仕組みを整えている事務所 があります。まずは複数の事務所に相談して、費用面も含めて比較検討することをおすすめします。


まとめ:お金がないことを理由に泣き寝入りしない

最後に、この記事の要点を整理します。

項目 ポイント
法テラスとは 国が設立した法的支援の公的機関。経済的に困っている方の味方
無料相談の条件 収入要件(単身:月18.2万円以下など)+資産要件を満たすこと
DV被害者の特例 配偶者の収入を合算しない、資産要件の緩和あり
立替制度 着手金・実費を法テラスが立替。月5,000〜10,000円で分割返済
生活保護の方 返済免除の可能性あり
弁護士の質 持込方式を活用すれば自分で弁護士を選べる
法テラス以外 弁護士会・自治体の無料相談、初回無料の法律事務所も活用

経済的な制約は、あなたが不利な離婚を受け入れる理由にはなりません。

「お金がないから弁護士には頼めない」と思い込んで、不当な条件での離婚に応じてしまったり、離婚そのものを諦めてしまったりするケースは少なくありません。しかし、法テラスをはじめとする支援制度を活用すれば、経済的に厳しい状況でも質の高い法的サポートを受けることは可能 です。

今日やるべき3つのアクション

  • 自分の手取り月収を確認する——給与明細を見て、収入要件(単身18.2万円以下、2人家族25.1万円以下など)を満たすかチェック
  • 法テラスのサポートダイヤル(0570-078374)に電話する——「離婚について無料相談を受けたい」と伝えるだけでOK。対象かどうかもその場で確認できる
  • 相談日までに聞きたいことを3つ書き出す——30分は短いので、「養育費」「親権」「財産分与」など優先順位をつけておく
  • 一人で抱え込まず、使える制度はすべて使って、あなた自身とお子さんの将来を守ってください。


    関連記事

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です